きっと私の身体はジェリービーンズでできている。
今の…何?


一瞬だったけど
振り返ると背広さんがいて



背広さんに
抱きすくめられてた…?

そんな私を
背広さんが見つめていて

カァーっと頬が熱く
なる


「…何やってんの?」


気がつくと

猫が
台所の入口の柱に
もたれて立っていた


気怠い雰囲気の中に
鋭い視線


それでも
背広さんは

いつもと変わらない顔で
ニコニコと笑っていた


「なんにも

片付け手伝おうかと
思っただけだよ
…猫君」


背広さんは
猫の肩を


すれ違い様に

ポンポン、とたたいて


居間へ戻っていく


何だったの…今の…


思わず
背広さんの姿を目で追っていると


ふと
首のあたりに
猫の視線を感じた


「お前、隙ありすぎなんだよ」


柱にもたれたまま
冷静な声で
猫が言う


なにが…、


憎まれ口を叩こうとした時


気付いたら

猫が
私の腕をつかんで


引っ張って行った


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