きっと私の身体はジェリービーンズでできている。
「なに?」


「…出てくれば」


壁一枚はさんだ向こうに猫がいるのに


「どこに?」


携帯で
話している事の


「窓、あけろ」


歯がゆさと

もどかしさが


同時に突き上げてくる



窓際にそっと
近寄る


息を整えて

窓を開ける


カラカラと
乾いた音がする


外の空気は初夏にしては冷たくて


思わず身を
すくめる


「そんなに嫌な夢だったのか?」



あ…


隣りの窓を見ると


出窓の桟に

足をぶらぶらと出して

猫が座って
私を見てる


この目…

何かいつもより
優しいかも


「嫌な夢っていうか…」

あんな夢、言えない…


そう思ってたら
猫はニヤッとした


「じゃあ、エロい夢?」

うっ…
答えにつまると


「そんなのヒトの生理現象だから恥ずかしがることないだろ、今更」


私の反応を見て
つまらなさそうに
言った


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