きっと私の身体はジェリービーンズでできている。
私がたどり着く前に


猫は

ジュッ と音をたてて


ライターに火を
つけていた



ボッっと絵に
火が燃えうつる


「だめぇっ!」


「ちょっ…!やめろ!」

火がついた絵を
掴もうとする私を
猫が慌てたようにとめる

オレンジ色の火の中に
白い裸体


女の人の体が見える


顔…顔!


必死に手を伸ばす


「あっぶねぇだろ!このバカっ!」


その瞬間
私は後ろに吹っ飛んでいた


痛…
猫に張り飛ばされた


猫は肩で息をしている


その後ろで
ドラム缶から火が
チロチロと見える


…燃えてしまった


「お前…
調子にのんなよ」


怒った声
声が震えてる


「何なんだよ、お前
何様だと思ってんだよ」

「…私は」


「1回寝たくらいで
わかったフリしてんじゃねーよ…
…うっとおしいんだよ!」


つうっと
私の頬に
涙がつたう


あ…


「ジュンちゃん?!」


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