きっと私の身体はジェリービーンズでできている。
そのマグマを受け入れるには


ちっぽけなキャンバスでは
容量が足りなくて



食事に来ない俺を心配した親父が

部屋に来る頃には


スケッチブックから
はみ出して


床から

壁へと


描き進んでいた



さすがに親父は
その光景に

唖然としていたが


「…いい絵だ」


と一言いって


俺の頭に
油絵の具の
油臭い手を置いて


ぎこちなく
なでるようにした


親父は
わかっていたのだろうか


小さな点や

線で


埋め尽くされた


その絵は





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