超硬派彼女

おかしなグルーピー

それはある日のライブ終了後だった。


いつものように出待ちのグルーピーたちと軽く会話を交わし、写メ撮ってやったりしてから機材車に乗り込もうとすると、背の小さい女が後ろに立っていた。


Tシャツにジャージのズボン姿という、V系のファンには珍しい出で立ち。


髪も短く、殆どすっぴんで、俺は一瞬中学生かと勘違いした。


「なんだテメーは」


「お疲れさまです。ルシードの健斗さんですね」


「だったら何なんだよ」


「自分、ルシードのファンです。健斗さんの『錆び付いた時の中で』の歌詞に感動しました!これからも応援してるんで頑張ってください」


そう言うなり、ソイツはペットボトルのお茶を俺に差し出して去っていった。


「なんだアイツは・・・」


その女は、俺に不思議な印象を残していった。
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