ただその一言が言えなくて…
昔から


サチは特別だったけど


好きだと思ったのは




母さんが死んだ後。



父さんの気持ち


妹の麗奈の気持ち


おばあちゃんの気持ち


おじいちゃんの気持ち…


皆の気持ちを考えると


……泣けなかった。



葬式の後、


片付けを済ませて


一人で母さんの


棺を見てた。



最後に顔を見たかったけど


見れなくて……。


その時サチが


『一緒にサヨナラを言おう。


……辛かったら


泣いても良いから』


と言ってくれた。



それで


最後の別れが言えた。


…サチがそう言ってくれていなければ



俺は一生後悔してた。



サチには感謝してる。



そしてサチは本当に



特別な存在になった。



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