ただその一言が言えなくて…
「おはよ~、ケンちゃん、コウミ」


四人の待ち合わせ場所の赤いポストの前まで全力疾走した。


二人は待っていた。


「遅いよ。…またサチだろ」


ケンちゃんが言う。


「そうだよ。お前、おせーんだよ」


ショウはそう言いながら朝せっかく長時間かけてセットした頭を叩く。


「くずれちゃうでしょ!」


なんて言ってるけど


触れて貰えて嬉しかったりもする。


髪を直すふりして


叩かれたところを


撫でてみる。


…全然痛くなくて…。


なんかドキドキして


なんか、なんか……。


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