ただその一言が言えなくて…
「…~ってば。サチってば!」


コウミが呼んでた。


「え??ごめん、聞いてなかった」


「もうっ、…サチはどこ受けるか決めたの?」


「決めてないよ。……成績悪いし、…美城かな」


「ケンちゃんも美城だよね」


「おぅ。美城はスポーツ盛んだし、自由なカンジする。


…それにひきかえ可哀相だな、楼閣高校は」


「なんだよ、ケン。もうすぐ楼閣生が二人もいるのに」


「そうよ。楼閣高校は規律を守らせてるだけなんだから」


ショウとコウミは二人して反論した。


卒業したら


ケンちゃんとアタシは美城高校。


ショウとコウミは楼閣高校。


『いいな。私も楼閣行きたいな。』


……なんて身の程知らずだから言い出せないでいる。


二人の側にいて分かってるんだ。


どれだけ真剣に勉強してるのか、


どれだけ本気で楼閣行きたいのか。


今更…あと3ヶ月しかないのに…勉強し始めても


間に合わないよね。


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