air
会話しちゃいました
「花菜っ、かーえろ!」
練習が終わり、制服にまた着替え直したあたしにそう奈々が呼び掛けた。
あたし達はみんなにばいばいすると、バス停に向かう。
「ねえ花菜?」
"ん?"と奈々に顔を向けると、奈々はいつにない笑顔であたしを見ていた。
"どんだけ笑顔なの!"なんて馬鹿らしく突っ込んでみたけど、奈々はそれすらも気にしていない様子。
ん?
何だ何だ?
「花菜、好きな人いる?」
好きな人──
この単語を聞いた瞬間、すぐに児玉くんが頭に浮かんできた。
「奈々は?」
あたしが聞き返すと、奈々は少し頬を赤らめながら"いる"と嬉しそうに言う。
そしてあたしにもう一度"本当にいない?"って首を傾げた。
奈々とは前にも秘密の話をしていたし、お互いの色んなことを知っている。
奈々になら言ってもいいかな。
あたしは一度奈々に笑顔を見せると、口を開ける。
「……好きな人、いる」