選択者
ぬくもり
入道雲が見える。
モクモクと青い空に広がるそれが綿菓子に見え、パンを食べたばかりなはずのお腹がグゥと鳴った。
『ねぇ、ぽん太』
視線は綿菓子に向けたまま、話しかけると。
『なんだ?』
ぽん太はみいこに目を向ける。
なんだ、と聞くぽん太は、みいこが何を言うか知っている。
『りんご飴、食べたいな』
『お祭り?』
『うん』
『綿菓子の次はりんご飴なんて、甘いもの尽くしじゃないか』
ぽん太は、甘いものがあまり好きではないのだ。
『大丈夫だよ』
『次はからあげか。それならいいな』
『チョコバナナもいいなあ』
『結局、甘いじゃないか』
ぽん太は笑った。