飛べない黒猫
「…そばに?」


「あぁ…。
パシリもするし、買い物にもつき合う。
いいぞぉ…アイスだケーキだ、カフェにだってつき合うんだぜ。」


少し間があく。

「…じゃ、気長に治す。」


「…今、どこのケーキ食いに行くか考えてから返事したろう?」


「…。
雑誌に出てた、イチゴ&ベリーフェアやってる大通りのカフェ…」


「…。
何故だろう、ムカつく。」


「あはははっ…」


真央が笑った。

これでいい。



ゆったりとした規則正しい呼吸になった。
まだ、肩で息をしているが、青ざめていた顔色も良くなった。


「家に戻ろうか?」


真央は身体を起こして「うん。」とうなずいた。


「ほら、だっこしてやる…
中高生が憧れるお姫様だっこだぞ。
まだ、足元ふらつくだろう?」


「いい…お姫様だっこは恥ずかしいもん。
おんぶにする。」


そう言って、真央が背中に抱きついてきた。

…おんぶも充分恥ずかしいと思うケド。
蓮は苦笑いをして立ち上がる。


「高ーい、遠くが見える!」


真央は背中ではしゃいでいた。
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