飛べない黒猫
その時、地に響く爆音があたりに響き渡る。
間を置かずに、数回続けて。
ぱっと空に光が走り、空一面に大輪の花が広がった。
次々にあがる花火は、まるで覆いかぶさるように流れてくる。
思わず腕でかばってしまうくらいに、大きく美しく色を変化させながら、2人の視野いっぱいに降ってきた。
毎年この時期になると、テレビで中継されているのを目にしているし、実際、遠くからだが見たことだってある。
だが、こんな間近で見たことが無かった蓮は、その迫力に驚き、すっかり興奮してしまった。
「すごい!こんなに大きく見えるなんて思わなかったよ。
きれいだね、…真央?」
真央はじっとして動かない。
言葉無く空を見上げる瞳からは、大粒の涙が流れていた。
そうか…
人を愛おしく思い、抱きしめたい衝動にかられるというのは、こんな時の事を言うんだ。
蓮は、思わず動いた自分の右手を、ふと見つめた。
醜い指…少し震えている。
深く息をつく。
自分の思いを感情のままにぶつけて、いったい、どうしようっていうんだ。
大人げない…分をわきまえろ。
蓮は自分にそう言い聞かせ、右手をそっと真央の肩に添えた。
「これだけ大きな花火だ。
お母さんにもハッキリ見えるね。」
「…うん。」
真央は蓮のシャツの胸ポケット端をぎゅっと掴み、おでこを当てて泣いた。
間を置かずに、数回続けて。
ぱっと空に光が走り、空一面に大輪の花が広がった。
次々にあがる花火は、まるで覆いかぶさるように流れてくる。
思わず腕でかばってしまうくらいに、大きく美しく色を変化させながら、2人の視野いっぱいに降ってきた。
毎年この時期になると、テレビで中継されているのを目にしているし、実際、遠くからだが見たことだってある。
だが、こんな間近で見たことが無かった蓮は、その迫力に驚き、すっかり興奮してしまった。
「すごい!こんなに大きく見えるなんて思わなかったよ。
きれいだね、…真央?」
真央はじっとして動かない。
言葉無く空を見上げる瞳からは、大粒の涙が流れていた。
そうか…
人を愛おしく思い、抱きしめたい衝動にかられるというのは、こんな時の事を言うんだ。
蓮は、思わず動いた自分の右手を、ふと見つめた。
醜い指…少し震えている。
深く息をつく。
自分の思いを感情のままにぶつけて、いったい、どうしようっていうんだ。
大人げない…分をわきまえろ。
蓮は自分にそう言い聞かせ、右手をそっと真央の肩に添えた。
「これだけ大きな花火だ。
お母さんにもハッキリ見えるね。」
「…うん。」
真央は蓮のシャツの胸ポケット端をぎゅっと掴み、おでこを当てて泣いた。