飛べない黒猫
蓮もうなずき、青田の横に座る。


「甘えてるじゃない!
蓮のこと、追っかけて。
甘えた声で、腕組むし。」


「…馬鹿ね。
ほんと、子供なんだから。
その甘えると、この甘えるは違うの!
好きな人に、そうするのは当たり前でしょ?
真央ちゃんには、まだまだ分かんないだろうけど。」


「わかるもん…」


「何がわかるのよ!」


「わかってないのは、美香ちゃんだから。
蓮の顔が好きとか、背が高いのが好きとか、ハーフでかっこいいとか…
見た目で好きになる方が、子供なんだからね!
蓮のこと、あまり知らないのにベタベタして淫乱だもん。」


「…な、なによぉ。」


美香の言葉が詰まり、涙声に変わる。


「蓮さん優しいの知ってるわよ。
あたしが、誰を好きになろうと、勝手でしょ?
なんで、みんなで…パパも、お兄ちゃんも…
真央まで邪魔するの?
だって…好きになっちゃったんだもん。
どうしょうも無いじゃない…」


美香は泣き出してしまった。

しばらく沈黙が続き、美香のしゃくり上げる泣き声だけが聞こえてきた。


「そろそろ出番かな。」


青田が立ち上がった時、真央の声が聞こえた。


「あの、美香ちゃん、泣かないで…
和野さんが、真央は美香ちゃんにヤキモチ焼いてるって言ったの。
その時は、ヤキモチとは違うって反論したけど。
わたし、やっぱり美香ちゃんにヤキモチ焼いたんだね。
だから、いじわるな事を言ったんだ。
ごめんね…」
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