飛べない黒猫
クロオが足首を舐め、顔を擦り寄せてきた。
真央は、足元の柔らかく温かなぬくもりに安堵し目を閉じた。
さっきまで、耳元で繰り替えされてた男の罵倒する荒々しい声と悲鳴。
それが聞こえなくなり、呼吸も随分楽になった。
「うるせぇ、だまれ!ガキ。
ぶっ殺すぞ、てめぇ」
血だらけの手とナイフ。
「だまれって言ってんのがわかんねえのか!」
長い長い悲鳴。
「だまれ、こらっ」
赤く引き攣った男の顔、母親の悲鳴…背中に広がる血はドクドクとしたたり、真央の手や身体を真っ赤に染めた。
気がついたら抱きかかえられていた。
「大丈夫だよ、落ち着いて…」
広い大きな胸の中で聞いた声は、優しく耳に心地よかった。
ソファーに寝かされた時、見上げた真央の目に映ったのは、赤い髪と綺麗な緑の目。
クロオと同じ魔法の目だった。
クロオの緑の目を見ると、真央の苦しい発作は不思議と和らいだ。
クロオは魔法の目で、いつも自分を癒してくれている。
真央はそう信じていた。
真央は、蓮の魔法の目をじっと見つめた。
やっぱり。
胸の中でうごめいていた黒いモヤモヤはスッと抜け出し、真央は息を吸い込む事が出来たのだ。
真央は目を開け、身体を起こしてソファーに座り直す。
クロオが顔を上げこっちを見た。
「おいで」と心の中で呼ぶと、ニャアと鳴いて寄ってくる。
そのまま膝の上にのせて、背中を撫でてやった。
赤い首輪が手にあたる。
女の子だもんね。
かわいくすると嬉しいよね。
最初は首輪を嫌がったクロオだったが、もう馴れた様子。
特に気にするでもなく、もう首輪は馴染んでいるようだった。
真央は、足元の柔らかく温かなぬくもりに安堵し目を閉じた。
さっきまで、耳元で繰り替えされてた男の罵倒する荒々しい声と悲鳴。
それが聞こえなくなり、呼吸も随分楽になった。
「うるせぇ、だまれ!ガキ。
ぶっ殺すぞ、てめぇ」
血だらけの手とナイフ。
「だまれって言ってんのがわかんねえのか!」
長い長い悲鳴。
「だまれ、こらっ」
赤く引き攣った男の顔、母親の悲鳴…背中に広がる血はドクドクとしたたり、真央の手や身体を真っ赤に染めた。
気がついたら抱きかかえられていた。
「大丈夫だよ、落ち着いて…」
広い大きな胸の中で聞いた声は、優しく耳に心地よかった。
ソファーに寝かされた時、見上げた真央の目に映ったのは、赤い髪と綺麗な緑の目。
クロオと同じ魔法の目だった。
クロオの緑の目を見ると、真央の苦しい発作は不思議と和らいだ。
クロオは魔法の目で、いつも自分を癒してくれている。
真央はそう信じていた。
真央は、蓮の魔法の目をじっと見つめた。
やっぱり。
胸の中でうごめいていた黒いモヤモヤはスッと抜け出し、真央は息を吸い込む事が出来たのだ。
真央は目を開け、身体を起こしてソファーに座り直す。
クロオが顔を上げこっちを見た。
「おいで」と心の中で呼ぶと、ニャアと鳴いて寄ってくる。
そのまま膝の上にのせて、背中を撫でてやった。
赤い首輪が手にあたる。
女の子だもんね。
かわいくすると嬉しいよね。
最初は首輪を嫌がったクロオだったが、もう馴れた様子。
特に気にするでもなく、もう首輪は馴染んでいるようだった。