飛べない黒猫
ぐっすりと眠り込んでいたらしい。
目覚めると、いちご模様のブランケットにくるまっていた。

スケッチを終えた真央も隣に寝そべって、通信教育の教材を開き問題を解いている。


「…あー、なんか、俺…爆睡?」


真央が顔を上げた。

うん、うんと顔を上下に振る。


「これ、悪いね…気がつかなかった、ありがとう。
おかげで、暖かくて気持ちよく寝れたよ。」


苦笑いして、ブランケットを指でつまむ。
寝起きで声がかすれていた。

真央が笑う。


「あれ?クロオは?」


腹の上にアゴを乗せて寝ていたのに、見当たらない。
真央の指が、家の方を指差す。


「あはは、ずいぶん寝たからな…
付き合ってらんないって感じで、ウチに入ったんでしょ。
ごめんね、真央ちゃん。
長時間、付き合わせちゃったね…」


蓮は起き上がると、大きく伸びをした。


「寝たら元気になって腹減ったな…
家に入って、なんか食うか。
真央ちゃん昼は食べた?」


丸めたブランケットを肩に担いで立ち上がり、真央に聞く。

真央は首を横に振って、急いで教材を重ね両腕で抱え立ち上がる。


「御飯残ってたかな…?
チャーハンでも食べようか。」


片足のつま先を、サンダルに滑り込ませながら真央はうなずく。


「今日は、真央ちゃん作るんだよ。
パラパラチャーハンの極意、俺が伝授してやるからさ。」


真央は、ぶんぶんと顔を横に降り、無理だと首をすくめる。


「だーめ、俺、甘やかさない主義。
何でもできるようにならないと、自立したイイ女になれないんだぜ。」
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