飛べない黒猫
その日、いつもより早く青田と洋子が帰宅した。
青田は抱えきれないほどの大きな花束を、洋子は真央の好きな苺のケーキを買って帰ってきたのだが、主役である当の本人はクッションを抱いたままソファーで眠っていた。
物音がしてもピクリとも動かない。
よっぽど疲れたのね、と洋子が言った。
「すみません…、ちょっと外に連れ出してたものですから…。」
蓮が苦笑いして青田に詫びる。
「いやいや、蓮くんが外に連れ出してくれるようになって、真央も明るく活発になりました。
うれしい事です。
ところで、今日は何処へ探検ですか?」
ぐっすり寝込んでいる真央を遠目に覗き込んで、青田が微笑んだ。
洋子は珈琲を入れてテーブルに運び、声をかける、
3人は椅子に腰掛け話しを続けた。
「コンクールの連絡を貰った後、腹が減ったから何か食べに行こうって事になって。
僕が、ご褒美に好きな所に連れて行ってあげると言ったんですね、そしたら彼女のリクエストが、たこ焼きとアイスクリームだったんですよ。」
「えぇーっ…もっと美味しいモノ食べに連れて行ってあげればいいじゃない。」
洋子が呆れて言った。
「いや、俺も、そう言ったんだけど…。
彼女の頭の中では、ご褒美イコールたこ焼きみたいでさ。
今日は駅前のたこ焼き屋に行ったんだけど…。
実は、テイクアウトにしないで店内で食べたんだ。」
「えぇーっ!」洋子は思わず大きな声をあげた。
ハッと我に返り口を両手で押さえる。
ソファーの真央を振り返り、静かに寝息を立てているのを確認して、また蓮を見た。
青田は洋子が声をあげたと同時に、飲んでいた珈琲に咽せ咳き込んでいた。
「あ、でも、無理矢理じゃなくて!」
蓮は両手を広げて、慌てる2人を落ち着かせるようにゆっくり、はっきり話した。
青田は抱えきれないほどの大きな花束を、洋子は真央の好きな苺のケーキを買って帰ってきたのだが、主役である当の本人はクッションを抱いたままソファーで眠っていた。
物音がしてもピクリとも動かない。
よっぽど疲れたのね、と洋子が言った。
「すみません…、ちょっと外に連れ出してたものですから…。」
蓮が苦笑いして青田に詫びる。
「いやいや、蓮くんが外に連れ出してくれるようになって、真央も明るく活発になりました。
うれしい事です。
ところで、今日は何処へ探検ですか?」
ぐっすり寝込んでいる真央を遠目に覗き込んで、青田が微笑んだ。
洋子は珈琲を入れてテーブルに運び、声をかける、
3人は椅子に腰掛け話しを続けた。
「コンクールの連絡を貰った後、腹が減ったから何か食べに行こうって事になって。
僕が、ご褒美に好きな所に連れて行ってあげると言ったんですね、そしたら彼女のリクエストが、たこ焼きとアイスクリームだったんですよ。」
「えぇーっ…もっと美味しいモノ食べに連れて行ってあげればいいじゃない。」
洋子が呆れて言った。
「いや、俺も、そう言ったんだけど…。
彼女の頭の中では、ご褒美イコールたこ焼きみたいでさ。
今日は駅前のたこ焼き屋に行ったんだけど…。
実は、テイクアウトにしないで店内で食べたんだ。」
「えぇーっ!」洋子は思わず大きな声をあげた。
ハッと我に返り口を両手で押さえる。
ソファーの真央を振り返り、静かに寝息を立てているのを確認して、また蓮を見た。
青田は洋子が声をあげたと同時に、飲んでいた珈琲に咽せ咳き込んでいた。
「あ、でも、無理矢理じゃなくて!」
蓮は両手を広げて、慌てる2人を落ち着かせるようにゆっくり、はっきり話した。