Rose of blood *short story*
ドアがノックされ、入ってきたシエルが私が泣いているのを見て慌てて駆け寄ってきた。



『ローズ!?どうしたんだ!?』

「な、なんでもないの!!」

『なんでもないのに涙を流すはずがないだろう!?』



先生が困った顔をして口を開いた。



『シエル様、申し訳ありません。私のせいです』

「ち、違うよ!!私が勝手に泣いてしまったの!!本当に辛いのは先生なのに…」



シエルはわけが分からないという顔をしている。



『本当にローズ様はお優しいお方ですね。他人のことでもまるでご自身のことのように考えて下さる』

「そんなことない…私は結局何もしてあげられないもの……」

『いいえ、ローズ様が我々民の事を思って下さることで、我々の心は温かい気持ちになるのですよ』

「…ありがとう。でも、本当に私にできることがあれば何でもおっしゃってね」

『はい。ありがとうございます』



先生は私たちに頭を下げると笑顔で部屋を出て行ってしまった。






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