Rose of blood *short story*
シエルは隣に座り、肩を抱き寄せ頭を撫でてくれる。


そのおかげで心がどんどん落ち着きを取り戻していく。



『本当に何もないんだね?』

「うん。先生のお話を聞いて本当に私が勝手に泣いてしまっただけ」

『泣くほど辛い話だったの?』

「…瑠花として過ごしていた時のことを思い出したの。身分の違う相手を好きになってしまった時の気持ちを……」



私の言葉を聞いて、シエルもなんとなく察してくれたようだ。


あの時は私だけではなく、きっとシエルも自分の立場と気持ちの狭間で苦しんだに違いない。



『中々上手くいかないものだな』

「それでも…幸せになってほしい」

『第三者が首を突っ込むには難しい問題だ。だが、何か俺たちにできることがないか考えてみよう』

「うん…ありがとう」






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