欲望チェリ-止まらない心
「な…?!」


言葉が出ない3人の前まで来ると、あたしは切れる呼吸を肩で整えた。


「はぁ…はぁっ…」


震える呼吸。


心臓が今にも爆発しそうなのはずっと走っていたせい?


それとも緊張のせいかな。








「も…萌菜ちゃん…」


あたしは萌菜ちゃんを見つめる。


「なんで…こんなことするの?」


「は?」


「悪い所あったら言って?!ぜんぶ…あたし、全部直すから!!」








声が震える。



通学路で立ち止まり


3対1で深刻な顔をしてるあたし達に、追い越しざま学生たちが好機の視線を向けていく。


「…………」


萌菜ちゃんは黙ったまま眉間にシワを寄せた。


そして







「偽善者」








―――え?






「口を開けば、綺麗事ばっかだね。そういうのがね?」



「……………」



「うぜーんだよ」



優しかった萌菜ちゃんの口から発せられる汚い言葉に


あたしは絶句する。



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