欲望チェリ-止まらない心
ペラ…
放課後の生徒会室に、紙ずれの音とシャーペンの音が響く。
何も会話がないのは気まずいけれど
気を使って話題を考えたり笑顔を作らなくても良いのは助かる。
「ふぅ…」
およその集計は出来た。
そしてあたしは次の作業に取りかかろうと手を伸ばした。
しかし
同じタイミングで矢嶌紅も手を伸ばしたらしい。
プリントを取る時に、偶然手が触れ合ってしまった。
「!」
あたしは思わずプリントを落としてしまう。
ヒラヒラとプリントは机の下に舞い落ちた。
「あ…す、すみませ……」
あたしは慌てて落ちたプリントを拾った。
矢嶌紅はそんなあたしを見て目を細めた。
「え…?なんですか?」
あたしを嫌な目で見る矢嶌紅に心がざわつく。
「いや、お前って白々しい奴だよな」
矢嶌紅は皮肉を込めて小さく笑った。