欲望チェリ-止まらない心
あたしは矢嶌紅の横顔をそっと盗み見る。


「…矢嶌紅って何型なんですか?」


「AB」


「あ~、っぽい!二面性ありそうですもんね!」


「…………」


矢嶌紅は少しムッとした顔を見せた。


あたしは思わず笑いそうになる。


「矢嶌紅って猫と犬どっちが好きですか?」


「さぁね」


「なんか黒猫を膝に抱いてるイメージがあるなぁ」


1人でうんうん納得するあたしを矢嶌紅が顔だけで見る。


「お前は豚飼ってそうだな」


「!」


矢嶌紅はふんと笑うとまた前を見た。


「な…それどういう意味ですか!?」


「そのままの意味だろ」


「も…もうヒドイです!」


だけど


あたしはプンスカ怒りながらも内心喜んでいた。


矢嶌紅と話すことが、なぜか楽しい。


嬉しい


学校で矢嶌紅といる時間だけが笑顔になれた。




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