欲望チェリ-止まらない心
―――カシャッ
その時、どこかからかそんな音がした。
「!!?」
萌菜ちゃんたちは後ろを振り返る。
すると階段の上に、こちらにカメラを向けた矢嶌紅が立っていた。
「や…矢嶌先輩…!」
萌菜ちゃんはパッと立ち上がると口に手を当てた。
「あ…あの…これはお芝居の練習で…」
矢嶌紅はトントンと階段から下りてくる。
「あの、本当に…違うんです」
「…………」
無言のまま矢嶌紅は萌菜ちゃん達の前に立つと、静かに言った。
「どっか行けよ」
「!」
「こういうの俺、一番嫌いだし」
そう言うと、矢嶌紅は今撮った携帯画面を萌菜ちゃんに向けた。
「次コイツに関わったら聖に送るから」
「!」
萌菜ちゃんの顔がカァッと赤くなった。
「萌菜…行こう」
愛華ちゃんと希美ちゃんに促され、萌菜ちゃんたちはパタパタと去って行った。