欲望チェリ-止まらない心
静かな生徒会室にあたしの嗚咽が響く。








あたしは矢嶌紅に全てを話していた。





だけど感情が溢れすぎて…


嗚咽が邪魔をして、うまく説明できないあたし。


そんなあたしを、机の向かいに座る矢嶌紅はただ黙って見つめていた。














「聖は知ってるのか?」


あたしが全てを話し終えた後、矢嶌紅が初めて口を開いた。


「……………」


あたしは首を左右に振る。


「なら、聖に話せよ」


「それは…出来な…い」


あたしはぐすっと鼻をすする。


「ひっく、ひー君の…荷物になり…たくない…」


優しいひー君は、事実を知ったらきっとあたしを優先してくれる。


全力で守ってくれる。


だけど


ひー君に守られたからって、解決はしない。


余計に嫌がらせが酷くなる。


女の嫉妬なんてそんなもんなんだよ…


ただでさえ忙しいひー君に、迷惑もかけたくもない。


それに…


あたしはひー君に守られる彼女になりたい訳じゃないんだ。


ひー君の隣でも堂々と歩けるような、そんな彼女になりたいんだよ。




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