欲望チェリ-止まらない心
「これからは相談しろよ」
黙々とお弁当を食べるあたしに矢嶌紅がふと言い出す。
「お前は聖の彼女だから」
「…………」
「聖に言えないなら、フォローぐらいはしてやるよ」
お箸を口に含むあたしに矢嶌紅は続ける。
「だからもう溜め込むな」
矢嶌紅の言葉に……
口に含む玉子焼きの味が涙の味に変わった。
肩が小さく震える。
「っうぅ…」
あたしは何も言えず、ただウンウンと頷いた。
誰かからの言葉で
こんなに嬉しくて
こんなに救われたのは
きっとこの時が一番だった。
あたしの中で
矢嶌紅の存在がどんどん大きくなっていく…
それが恋に変わるのは、そう遠くない未来だった。