欲望チェリ-止まらない心
「おい、聖」


「ん?」


駆け寄る俺に聖は振り返ると、白い歯で笑みをこぼす。


「あぁ、紅か」


「ちょっと話があんだけど」


「え?俺に?」


「あぁ、実はさ…」








しかしその時


「藤ヶ崎くん!」


廊下の向こうから、白髪の教師がやってきた。


「夏の全国スピーチ大会の件だが、今いいか?」


「あ、はい」


そう答えながら聖が俺を見たので、俺は言ってやる。


「じゃあ俺は次でいいや」


「ごめん。埋め合わせは必ず」


聖は申し訳ない顔で謝罪のポーズをとると、教師と去って行った。





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