欲望チェリ-止まらない心
廊下の角に消えていく聖の影を見ながら、俺はため息をついた。


仕方ない。

またの機会にするか。


それにしても聖はどれだけの仕事を抱えてんだ。


それを全部、完璧にこなす奴だからみんな余計に聖を頼るんだろうけど。


そして、ふと思う。


橘三咲もあんな風になりたいんだろうか。










結局その日は、その後聖に会う事はなかった。


橘三咲のイジメの件、言うつもりだったのにな。


橘本人は、言わないでと言ってたけど…









そんな事を考えている時だった。


「矢嶌~」


放課後


教室でカバンに教科書を詰めていた俺の元に


他クラスの男子がやって来た。


「なに?」


「これ、今日期限だった報告書」


「あぁ、文化祭のやつか」


「おう。期限ギリギリになって悪ぃな」


その男子は文化祭の実行委員長だった。


文化祭準備の進行状況などを、報告書にまとめて今日までに提出してもらう約束になっていたのだ。


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