欲望チェリ-止まらない心
「…………」


俺は一年生についての報告書のページをめくった。


特に問題はなさそうだが…


「――…あ」


その時

1クラスだけ、進行状況がやけに遅いクラスを見つけた。


名前を確認すると、橘三咲のクラスだ。


しかも、委員会出席者の欄には毎回[橘 三咲]の文字しかない。


だいたい、出席者は1クラスにつき数人いるはずなのに…


橘が顔を曇らせた訳を探りながら、俺の中で糸がつながっていく。





俺はさらに報告書に目を通す。


「お前のクラス、文化祭は環境問題について発表するんだ?」


「え?」


橘は顔を上げた。


「あっ、はい」


テーマは一応それなりに決められたようだな。


「んじゃ何をそんなに手間取ってんの?」


「!」


報告書に目を通す俺に、橘は顔を赤くさせた。


そして橘はカバンの中からノートを取り出す。


「じっ時間もないし…テーマもなかなか難しくて」


俺は橘からそのノートを受け取った。


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