欲望チェリ-止まらない心
ひー君の家である藤ヶ崎邸は、豪邸。


吹き抜けになっている大きな階段で2階に上がると、あたしはひー君の部屋に入った。


あたしの部屋の3倍くらいあるひー君の部屋。


窓際には天体望遠鏡が置いてあるし、壁には大きな世界地図が貼ってある。


あたしはいつも通り


その部屋の中央にあるガラス机の前に腰を落とした。


ひー君の部屋には普段からよく来ている。


最近では主に受験勉強をしに来ていた。


頭の良いひー君と同じ高校に行きたくて…


あたしは必死に勉強をしたんだ。


そんなあたしにひー君は勉強を教えてくれていた。


「三咲、二人で乾杯しよ?」


ひー君はこっそり持ってきたりんごのスパークリングをグラスに注いだ。


いつもより照明の少ない部屋でリン…と2つのグラスが鳴る。


あたしはこの、なんだか大人っぽい雰囲気にドキドキしていた。


「三咲、おめでとう」


「ぜ、全部ひー君のおかげだよ!」


ひー君はにっこり微笑むとグラスに口を付けた。


あたしはそんなひー君に目が釘付けになっていた。


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