欲望チェリ-止まらない心
その時



「紅はどっちが好きですか?」


戻ってきた橘は突然、コーラとなっちゃんの缶を俺に見せた。


「は?」


「今日、付き合って頂いたお礼ですっ」


……へぇ。


なかなか気がきくとこもあるんだな。


「じゃあ」


俺は迷わずなっちゃんを取る。


ピンク色のもも味なっちゃん。


甘ったるいのもそんなに好きじゃないけど。



「え、意外!紅は絶対コーラだと思ったのに」


「は?俺、炭酸きらいだし」


俺はなっちゃんをプシュッとあけると一口飲む。


「え―!意外…ほんとに?そ、そっかぁ」


橘は大げさに反応してから、コーラを握りしめ俺の隣に座った。


「……………」


「……………」


そして訪れる短い沈黙。


なっちゃんを口にしながら横目に橘を見ると、橘と目があった。


橘はパッと顔を背けると、その顔を少し赤くさせた。



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