欲望チェリ-止まらない心






「あたし……」




「あ?」


「ずっとこういうの、憧れてたんです」


「?」


俺は首をかしげる。


「こうやって放課後、寄り道するの」


「あぁ、」


「あたし高校生になって、初めてなんです」


「………」


「こうやって、誰かと放課後に外で遊ぶの」



橘の発言に俺は若干驚く。


だって…


橘が高校生になってもう3ヶ月だろ?


「萌菜ちゃん達とは一度だけ、カラオケには行ったことあるんですけど」


「…あぁ」


「あたし全然楽しめなくて…」


「…………」


「ひー君とはたまに一緒に帰れたりするんですけど、いつも遅い時間帯だし」


「…………」


聖には部活があるからな。


橘は俺を見てへへっと笑う。


「だからこうやって…高校生みたいなことするのずっと憧れてたんです」


「………」


そう言う橘から俺は目を反らした。


なんというか、見てられない。



< 202 / 488 >

この作品をシェア

pagetop