欲望チェリ-止まらない心
「あたし……」
「あ?」
「ずっとこういうの、憧れてたんです」
「?」
俺は首をかしげる。
「こうやって放課後、寄り道するの」
「あぁ、」
「あたし高校生になって、初めてなんです」
「………」
「こうやって、誰かと放課後に外で遊ぶの」
橘の発言に俺は若干驚く。
だって…
橘が高校生になってもう3ヶ月だろ?
「萌菜ちゃん達とは一度だけ、カラオケには行ったことあるんですけど」
「…あぁ」
「あたし全然楽しめなくて…」
「…………」
「ひー君とはたまに一緒に帰れたりするんですけど、いつも遅い時間帯だし」
「…………」
聖には部活があるからな。
橘は俺を見てへへっと笑う。
「だからこうやって…高校生みたいなことするのずっと憧れてたんです」
「………」
そう言う橘から俺は目を反らした。
なんというか、見てられない。