欲望チェリ-止まらない心
「こ、紅~」
橘は叱られた犬みたいな声を出してついてくる。
しかしその時
駆け出した橘が小さな段差につまずいた。
「きゃ…」
「!」
とっさにそれを受け止める俺。
「あぶね…」
そして気付くと橘は俺の胸の中にいた。
橘の柔らかい髪が、ふわりと香る。
「きゃっ、す…すみません!」
橘は慌てて離れると、恥ずかしそうにうつむいた。
「お前…どんくさ過ぎ」
これ以上踏み込んだらいけないのに、
橘が俺のセーブをどんどん効かなくする。
「これじゃ……聖も大変だな」
「…………」
そして俺たちは、家路についた。