欲望チェリ-止まらない心
「……………」


俺は携帯をそっと机の上に戻した。












―――――――…
―――…



しばらくして、ようやく三咲が帰ってきた。





「え…ひー君が…!?」


一階からそんな声が聞こえてくる。


そしてバタバタと階段をかけ上がってくる三咲。


ガチャッと部屋のドアをあけて俺を見た三咲は、少し息が切れていた。


「お帰り、三咲」


俺はベッドに腰をかけたまま、ニコッと笑う。


「ひ、ひー君っ…お待たせしてごめんね?」


「ぜんぜん。俺こそ突然ごめんね」


三咲はブンブン首を振る。


俺はふと、そんな三咲の手元を見た。


通学鞄以外になにか荷物を持っている。


「友達と買い物にでも行ってたの?」


「へ?あっ、うん…!」


三咲は手提げから可愛いデザインのボトルを取り出して見せた。


「これ、すごくいい香りがする柔軟剤なんだよ」


「へぇ、三咲って昔からそんなの好きだったよね」


昔から匂いに敏感な三咲。


だから俺も、いつも三咲と会う時は普段より匂いに気を付けていたりする。


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