欲望チェリ-止まらない心
三咲は荷物を置くと、クローゼットからハンガーを取り出した。


「あの…ごめん、ひー君」


「あぁ、大丈夫だよ、見ないから」


制服を着替える三咲のために、俺は背中を向ける。



普通…

こういうシーンだと彼氏は部屋から出るべきなのかな。


一線を越えていない関係なら、きっとなおさら…。


だけど小さい頃から一緒にいる俺と三咲は


その辺りの貞操観念が少しだけユルい。


シュル…バサッと後ろから布ずれの音が聞こえてくる。











「そう言えば、三咲さ…」


俺は三咲に背中を向けながら、切り出す。


「ん?」


「最近、困ったことはないか?」


「え……?」


俺の言葉に、三咲の声が少し固まる。


「ほら…誰だっけ?萌菜ちゃんとも仲良くしてるの?」


「あ、う、うん」


肯定しながらも、三咲の声は明らかに狼狽(ろうばい)している。



「そっか…」


「うん、どうして?」


「…………」



さすがに、携帯を見たからとは言えない。


おばさんから三咲の様子について聞かれたことも言えない。



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