欲望チェリ-止まらない心
――翌日









「ひー君、いますか?」






テスト4日前の昼休み。


ランチタイムの3年生の教室に、一人の1年生が訪ねてきた。


1年生の訪問はたいして珍しくないけれど…


俺をひー君と呼ぶもんだから…


クラス中の生徒が教室の入口に立つ彼女に注目している。



「萌菜ちゃん、久しぶりだね。どうしたの?」


俺は入口の彼女の前に立つと、そのまま廊下に誘導する。


まさか、萌菜ちゃんの方からやって来るなんて…



「ひー君お久しぶりです!お食事中にすみません…」


「ううん、構わないよ。何か用事?」


「はい…実は三咲のことで相談が」


そう言うと、萌菜ちゃんは口元に手を当てて戸惑う素振りを見せた。



三咲のことで相談、ね。


俺は感情を抑えながら、優しく首をかしげる。


「俺で良ければ話を聞くよ?」


「あっありがとうございます」


萌菜ちゃんは伏せていた瞳を、ちらりと俺に向けた。


そして…意味深に言う。


「ひー君なら…知っておいた方が良い情報だと思うんです」



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