欲望チェリ-止まらない心
「……………」
俺はそのまま、静かに生徒会室から離れた。
止めに入っても良かったけど…
うまく自分を抑える余裕がなかったから。
「ひ…ひー君、待って…!」
慌てて後ろから萌菜ちゃんが追ってくる。
「ひー君っ…!」
階段まで来たところで、萌菜ちゃんが俺の腕を掴んだ。
「なに…?」
俺は静かに振り返る。
「きっと…間違いですよ!」
「……え?」
「だって…三咲は浮気なんてするような子じゃないですもん!」
「…………」
この子は何を言ってるんだ。
俺にコレを見せたくて連れてきたんだろ?
萌菜ちゃんはうっすら目に涙まで堪えている。
それは…どっちの涙なんだい?
演技とか……もう要らないよ。
みんなの心が、信じられない。
「ありがとう萌菜ちゃん」
俺は萌菜ちゃんの腕を払うと、ニッコリ微笑んだ。
「君のお陰で真実が知れたよ」
そして俺はまたスタスタと歩きだした。