欲望チェリ-止まらない心
本当は、ひー君に頼るつもりなかったんだよ。


頼らずに、自分で解決できるようになりたかった。





だけど……



あたしはひたすら耐えることしか出来なかった。


どうすれば苦しみから抜け出せるのか、全然わからなかったんだ。



なのに、ひー君の手にかかれば


あんなに難しかった問題が、あっという間に解決したんだよ。





「やっぱり、ひー君はすごいね…」



ひー君のおかげで今日すごく楽しかった。


嬉しかった。


不本意にも、助けられて…


やっと出来た友達に、居場所に
あたしは心底ホッとしたんだ。


学校が楽しい場所なんだって…思い出すことが出来たんだよ。












「三咲、顔をあげて?」


「…………」


あたしが顔をあげると、ひー君は困ったような表情をしていた。



「俺が三咲を助けるのは当たり前でしょ?」


「…………」


「前にも言ったけど、三咲はもっと俺を頼ってよ」


そう言うと、ひー君はあたしの手を取る。


大きくて長い指が、すっぽりとあたしの手を包み込み


ひー君はそのまま歩き出した。



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