欲望チェリ-止まらない心
「それ、どういうこと?」
――――え?
あたしが声の方を見るといつの間にかひー君が戻ってきていた。
「……!」
あたしは思わず口元を押さえる。
いつから…いたの?
だけど
その話を聞いたひー君が、気分を害していることだけはその表情でわかった。
「あの…、ひーく」
「紅、三咲がイジメられていた事を知ってたの?」
ひー君は笑っていない。
「三咲がいじめられてるって、なぜ俺に黙ってた?」
こちらに歩いてくるひー君に、あたしは慌てて誤解を解こうとする。
「ちっちがうよ…あたしが頼んだの!ひー君に迷惑かけたくなくて黙っててって…」
「三咲は黙ってて?」
ひー君は静かに怒りながら、紅の横に立った。
「知ってたのか?紅」
ひー君に問いただされる、紅の感情は読み取れない…
だけど紅は、ただひー君から目を反らさずに言った。