欲望チェリ-止まらない心
「知ってた…ごめん」


「!!」


「わりぃな、黙ってて」



紅の言葉にあたしは泣きそうになった。


「ちがうよ!あたしが頼んだんじゃんかっ…なんで…!」


そんなあたしの言葉を遮って、ひー君は明らかに不愉快な顔で紅を見る。


「なんで言わなかった?」


「ごめん。機会がなかった」


「機会…?」


ひー君は首をかしげる。


「本当に言う気があるなら、方法なんていくらでもあったはずだろ?」


「…………」


「俺に内緒でヒーロー気取りか?」


ひー君は皮肉っぽく笑った。


「俺の知らない所で三咲に何をしてたんだよ?」


「ひー君っ…やめて!」


あたしはひー君の腕を掴んだ。


「こ…矢嶌先輩は悪くないよ!」


いつの間にかあたしは涙を流していた。


見てられないよ…!


だって紅は悪くないのに。


「ごめ…なさい、ひー君…あたしが内緒にしたから悪かったんだよ…」


あたしはひー君に泣いてすがる。


「ひー君に相応しい彼女になりたくて…イジメぐらい自分で解決したかったの…」


ひー君はあたしの言葉に目を少し大きくした。



「あたし、ずっとひー君に対して自信がなくて…ごめ…なさ…」




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