欲望チェリ-止まらない心
ファミレス内の客がチラチラとあたし達を見ている。
それに気付いたあたしは恥ずかしくなり慌てて涙をぬぐった。
「泣かないで?三咲」
ひー君は少し冷静を取り戻したのか…
あたしの頭にポンと手をやった。
「俺が怒ったから…怖かったよね?」
いつもの優しいひー君の声に、あたしはホッとする……
しかしひー君はあたしと自分のカバンと伝票を持つと
あたしの手をつかみレジに歩きだした。
そして
「紅には…失望したよ」
ひー君は背中でそう言い捨てると紅から離れた。
「っ……」
ちが…
ちがうよ…!
あたしはひー君に引っ張られながら後ろを向いた。
「……っ」
ズキ…ン
紅は傷付いた表情で、たたずんでいた。