欲望チェリ-止まらない心
「な…なに?」


「…………」



ひー君は伏し目がちに、視線を落とす。



「三咲はもう…必要以上、紅に近付かない方が良いんじゃないかな」


「……え」


「生徒会も二学期からは俺の補佐を頼むよ」


「……………」







そ…んな…







「俺が二人に仕事を任せたのに…今さら勝手なのは分かってるんだ」


「…………」


「だけど、三咲が心配なんだ」


「…………」



あたしがひー君を見ると、ひー君はうつむいたままで…。


いつも頼りになるひー君が、なんだか迷子の子供みたいな顔をしていた。



ズキ…ン


紅に感じたのとはまた違う切なさに、胸が締め付けられる。









あたしはギュッと唇を噛んだ。


「心配しなくても…大丈夫だよ?」


そしてあたしは無理やり笑う。


「ひー君が言うまでもなく…、矢嶌先輩にも今日言われたもん」


「なにを?」


「もう、あたしとは関わらないって」



あたしは悲しみを隠して、精一杯平気な声を出した。


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