欲望チェリ-止まらない心
「萌菜ちゃん…きっとひー君を見る度に後悔してるんじゃないかな」


降り注ぐ太陽は容赦なく、あたしは汗をぬぐって歩く。


そんなあたしにひー君は首を傾げた。


「そうかな?」


「ひー君はそう思わない?」


「うん、思わないな」


ひー君はそう言うと、フッとあたしに微笑んだ。


「三咲は考え方が優しいね」


「そ…うかな?」


あたしだけなのかな?


それともこの微妙な気持ちは、女の子特有のものなんだろうか…





「仮に彼女達が後悔をしていたとして」


「…うん」


「だからって彼女達がしたことは許されないよ」


「…………」


キッパリ言い切るひー君。


ひー君が言うことは正しいんだろう。


「彼女達がしたことは、きっと自分達に返ってくるよ」


白い夏服のカッターシャツに、ひー君の爽やかな顔が眩しい。



そしてひー君は話題を変えるように続けた。



「そんな事よりさ、三咲これから俺の家に来ない?」


「え?」


「母さんが三咲に久しぶりに会いたいって」


「ほんと?」


「うん。お昼、食べにおいでよ」


「え?でも、いきなりそんな…良いのかな?」


「勿論だよ」


そしてひー君は白い歯を見せて微笑む。






こうして、あたしの夏休みが始まった。


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