欲望チェリ-止まらない心
「三咲、一緒に行かない?」


「ほんと?いいの?」


「うん。週末は部活がないから」


「!」


あたしがパァッと笑うとひー君もニコッと笑った。


それから少し話をして


あたしは帰っていくひー君の影が見えなくなるまで手を振った。














―――そして週末



花火は夜だけど、ひー君は午前中から迎えにきてくれるらしい。


「ひー君に褒めてもらえるように可愛くならなきゃね」


そう言いながら、お母さんがあたしの浴衣の帯をキュッと絞め上げる。


「うっ…お、お母さんっ苦しいよ~」


「大丈夫よ、これくらいしなきゃ人混みでゆるんできちゃうんだから!」


お母さんは容赦なく帯を結っていく。


「ほら、可愛く出来た」


「え~?」


姿見の前でくるりと回ると、いつの間にか後ろは大きな蝶になっていた。


わ…!ほんと可愛い!!


「お母さんっありがとう~」


「うふふ、どういたしまして。荷物は用意したの?」


「あ、今からやる!」


髪の毛はもう結ってあるけど、荷物はまだ。


動きにくい浴衣姿で、あたしは慌てて荷物をまとめた。




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