欲望チェリ-止まらない心
ピンポーン



しばらくしてひー君がやって来た。


「まぁ!ひー君カッコいいじゃない!」


あたしよりも先に玄関を出たお母さんは、興奮気味にひー君を褒めちぎってる。


も~!

お母さん…!


あたしも慌ててお母さんの後から出ると


お母さんの言葉に少し照れながら、はにかむひー君がいた。


「!」


ひー君は浴衣姿。


生地も帯もナチュラルな茶系で統一してあって、上品で大人っぽい。


なんというか…本当にカッコいい。


お母さんが騒ぐのも納得だった。


「あ、三咲」


あたしを見ると、優しく微笑むひー君。


「三咲とひー君、とってもお似合いよ~」


お母さんも満足そうに頷いた。


「!」


そそっ…

そんな訳ないじゃんか~


どう見てもあたしとひー君、釣り合ってないよ…!


大人っぽいひー君に比べて、あたしの浴衣はベビーピンクの金魚柄。


中学生の時からのお気に入りだったけど…


ひー君があまりにも完璧で。


新しい浴衣、買えば良かったな。


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