欲望チェリ-止まらない心
ひー君が居なくなって


あたしは一人座りながら、ぼんやりと景色を眺めていた。


薄暗くなっていく景色の中で、屋台にはオレンジの灯りが灯ってゆき


夏祭のムードは一気に高まっていく。


うぅ…

それにしてもほんと気持ち悪いな


情けなくて申し訳なくて、あたしはキュッと目をつむった。


食べ過ぎだなんて


こんな日に、あたし何をやってるんだろう。


ダメだな、あたし…


ひー君、ごめん…


ごめんなさい…












その時


「……橘?」




――――え?



懐かしいその声にあたしが目を開けると……


目の前にはなぜか矢嶌紅が立っていた。



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