欲望チェリ-止まらない心
「で、聖は?」


「へ?や、あの…あたしが気分悪くなって…水を買いに…」


「は?気分悪いの?」


「いえ、や…ただの食べ過ぎで」


「………」


紅は少し考えるようにあたしの浴衣をじっと見た。


ドキン


え?ななな、なに?



「苦しいのって、多分それのせいじゃねーの?」


「え?!どれ?!」


「だから、それ」


紅はあたしの浴衣の帯を指差した。


「成人式で姉貴も気分悪くなってたから」



あぁ、


そう言えば、お母さんがやたらきつく絞めてたっけ。


あたしは帯とみぞおちの間に指をさして、ゆるめようとする。


だけど


後ろできっちり縛ってある帯はなかなかゆるまない。


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