欲望チェリ-止まらない心
だけどそれも束の間――…








「今日、紅に会ったよ」


「……え?」


あたしは思わずひー君を見る。


ドクン ドクン


「い…いつ?」


「水を買いに三咲と離れた帰りだよ」


「…………」


つまり、

あたしが紅と会った直後ってこと?


ひー君は前を向いたまま、話し続ける。



「俺、ちゃんと話してみたよ」


「え?」


「一応、和解って言うのかな?ちゃんと仲直りした」


「ほ、ほんと?!」


「うん」


ひー君は小さく微笑んだ。


「そ、そっかぁ!」


良かった。


良かったぁ…


だけど、せっかく仲直りできたのに


今あたしが言ったら…


ひー君はまたきっと紅を恨む…



あたしの中でまた迷いが起きる。


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