欲望チェリ-止まらない心
「うちらこれから陸上部に行ってくるね~」
「うん、ありがとうね!」
午前中から作業をしてくれていた優子ちゃん達は
午後は部活の為に去って行った。
「橘もちょっと休憩したら?お前だけ朝からやりっ放しだろ?」
ふいにクラスの男子が気遣って言ってくれた。
暑いのか
頭にタオルを巻いてるその姿にあの日の紅を思い出す。
キュ…ン
「あ、ありがとう…!じゃあ、お昼ご飯だけ食べてくるね!」
紅と同じ姿ってだけ。
なのに、そんな事ぐらいでいちいち胸がドキドキして。
そのたびに嫌悪感で胸が苦しくなる。
もっとあたしがひー君に一途なら良かったのに。
胸がキュンとするたびに優しいひー君を裏切っている気がして…
ひー君を傷付けている気がして…
あたしはお昼のパンをつかむと
そんな自分から逃げるように、教室を飛び出した。