欲望チェリ-止まらない心
それから数日後の夜








あたしはひー君の部屋にいた。





今夜は流星群が見えるらしくてひー君が誘ってくれたんだ。


「流星群はまだもう少し後だけど…」


そう言いながら部屋のバルコニーで、天体望遠鏡を調整するひー君。


その後ろ姿を見つめながらあたしは複雑な気持ちでいた。



ひー君を裏切れないなら


紅の事はもう忘れなきゃ…


もっとひー君を見なきゃ…







「この時期はさそり座が見えるよ」


「…え?さそり座って冬の星座だよね?」


「うん。でも見えるのは夏なんだ」


そう言いながら、ひー君は優しくあたしを手招きする。


「ほら、おいで?」


「……うん」


あたしは言われるがまま望遠鏡を覗きこんでみる。




「さそり座は夏限定で南西の空に見えるんだ」



望遠鏡からはキラキラと輝く美しい夜空が見える。


正直どれがどうさそりなのかは分からないけど…



その美しさにあたしは感動を覚えた。


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