欲望チェリ-止まらない心
透明なグラスから透ける、ひー君の形のいい唇。


二重の綺麗な目。


コクンと動くひー君の喉仏。


こんな雰囲気だからかな?


ひー君がいつもよりずっと大人っぽく見えた。


余裕のあるひー君。


なんだか自分ばかりが子供に思えるよ。


そしてまた、ひー君との間に距離ができたように感じた。


「……………っ」


あたしはそんな寂しさを紛らわすようにクイッと一気にスパークリングを飲んだ。


シュワシュワと炭酸がグラスを泳ぐ。


「てかひー君は高校で生徒会長やってるんだよね?」


「うん。俺はどっちでも良いんだけど、先生たちに推薦されて」


ひー君は小さく笑う。


「すごいなぁ、ひー君は。本当にすごい!」


「そんな事ないよ」


「ううん!すごい!さすがひー君だよ」


あたしの言葉にひー君は少し照れたように頭をかいた。


「三咲は?」


「え?なにが?」


「生徒会。俺から掛け合って、三咲を生徒会に入れてあげようか?」


「え~!?」


ひー君のいきなりの提案にあたしは戸惑った。


ひー君と同じ高校に通いたい一心で受けた高校は、あたしにとってレベルがかなり高い。


受かったのも奇跡だ。


なのに生徒会なんてしたら…


きっと効率の悪いあたしの成績は地の底に堕ちる。


下手したら留年するかも…!



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