欲望チェリ-止まらない心









「紅…ありがとう」




しばらくしてあたしは涙を拭いた。


「もう大丈夫。ごめんなさい、急に泣いて…」


「…………」


「あたし、ダメだね。もっと頑張らなきゃ」


あたしはニコッと笑うと仕事を再開させる。


「…………」


しかし紅は、ふいにあたしの手からペンを取ると


それを静かに机の上に置いた。





―――え?





「つーかさ……」


あたしが紅を見上げると紅は言葉を探すように髪をクシャッとやる。


「お前さ、楽に生きろよ。生きてりゃ楽しいこともあるしさ」


「………」


「もっと人生楽しもうぜ」


普段滅多に笑わない紅がふわりとあたしに笑う。



キュ ン


あたしの胸が、耳が熱くなる…



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